この記事でわかること
- 人工代替肉(植物肉)は健康面でもいい影響がある
- 人工代替肉(植物肉)を普及するには購入者の認知が必要
- 日本企業が人工代替肉(植物肉)に力を注いでいる
人工代替肉とは
人工代替肉は、植物性の物質から作られた肉です。
いわゆる、植物肉である。
代表的な人工代替肉は、大豆たんぱくから作られることがほとんど。
近年では、小麦グルテンやエンドウ豆タンパク質など、他の植物性タンパク質から作られた人工代替肉も出てきています。
人工代替肉のメリット・デメリット
人工代替肉のメリット・デメリットについて紹介します。
- メリット:環境問題(SDGs)が解決できる
- メリット:食糧危機の問題を解決する
- メリット:健康面の改善が期待できる
- メリット:菜食主義者やベジタリアンでも食べられる
- デメリット:価格が高い
- デメリット:少なからず環境面の問題が残る
- デメリット:お肉ではないため味が変わる
メリット1. 環境問題(SDGs)が解決できる
人工肉(培養肉・代替肉)は、家畜から発生するメタンの量を減らすことで、環境問題を解決することができます。
メタンは、気候変動の原因となる強力な温室効果ガスです。
国連食糧農業機関によると、家畜は人為的な温室効果ガス排出量の14.5%(※1)(牛のゲップなど)を占めています。
家畜から発生するメタンの量を減らすことは、気候変動の影響を緩やかにすることにつながります。
人工代替肉が一般化されるとこうした環境問題が軽減されるという期待がされています。
※1:国連食糧農業機関
メリット2. 食糧危機の問題を解決する
現在、世界が直面している食糧危機問題の解決策として、人工代替肉の人気が高まっています。
2050年には世界人口が97億人に達すると予想され、食料需要は70%増加すると見込まれている。
しかし、耕作可能な土地は12%しか増加しないと予測されていことから、需要と供給の大きなギャップが生まれ食糧危機に直面していると考えている。
この問題を解決する可能性を秘めているのが、人工肉(培養肉・代替肉)なのです。
メリット3. 健康面の改善が期待できる
人工代替肉は、健康面の改善が期待される。
肉の摂取による健康リスクへの懸念が高まる中、人工代替肉は植物由来の成分から作られており肉に代わるより健康的な代替品になるのではと期待されているのです。
ほとんどの人工代替肉は大豆から作られていますが、小麦やエンドウ豆のタンパク質など他の植物性材料から作られた代用品も存在します。
これらの代用品は脂肪分やカロリーが低いだけでなく、肉に含まれるコレステロールやその他の不健康な物質が含まれていません。
さらに、人工肉の代用品には、ビタミンやミネラルなどの栄養素が強化されていることが多いので、健康増進にもつながるのではと期待されているのです。
メリット4. 菜食主義者やベジタリアンでも食べられる
人工代替肉の多くは、大豆、小麦グルテン、エンドウ豆から作られています。
お肉と言われていますが、野菜で作られているのでビーガンやベジタリアンの方でも食べることができると期待されているのです。
デメリット1. 価格が高い
人工代替肉は価格が高く手が出しにくのが現状です。
その理由は、人工代替肉の製造にはコストと時間がかかるからである。
さらに、人工代替肉の市場はまだ比較的小さく、価格を下げるための規模の経済が十分に働いていないことを意味しています。
このような現状から、人工代替肉がすぐに広く利用され、手頃な価格になることはなく主流となるのにはまだ時間がかかると言われています。
デメリット2. 少なからず環境面の問題が残る
人工代替肉への需要が高まるにつれて、その影響は大きくなると思われる。
人工代替肉の大規模生産は、温室効果ガスの排出削減や食肉産業に関連するその他の環境問題の軽減に役立つと考える専門家もいる。
しかし、人工代替肉が環境に与える影響についてはまだ十分に解明されておらず、大規模生産を推奨する前にさらなる研究が必要であるという意見もあります。
デメリット3. お肉ではないため味が変わる
人工代替肉は植物性タンパク質から作られており、肉とは異なる風味を持っています。
どうしても味を近づかせるためには研究を行い続けなければならずすぐにお肉のような味にはならないでしょう。
ある意味「別の食べ物」という認識で関わる方がいいかもしれません。
代替肉に取り組んでいる日本企業
ここで紹介する国内企業は以下の3つ
- ネクストミーツ株式会社
- 日本ハム株式会社
- 西本Wismettacホールディングス株式会社
ネクストミーツ株式会社
2017年、共同創業者2名が本物の肉の味と食感を再現できる製品の開発を目指し、人工肉代替品の研究を開始。
3年間の研究開発の末、製品が完成し、2020年6月に法人化。
2021年1月には、米国市場のOTCBBにSPACスキームで上場した。
その後、ネクストミーツ株式会社の人工肉製品は、日本だけでなく、アメリカ、シンガポール、台湾、ベトナムなど、海外10カ国以上で人気を博している。
今後も、より多くの人に同社の代替人工肉を提供するため、新たな市場への展開を進めていく予定です。
日本ハム株式会社
日本ハム株式会社は、植物由来原料を使用した新シリーズ「NatuMeat」を2020年3月1日発売しています。すでに実用化されている
- ナチュミート ハムタイプ
- ナチュミート ソーセージタイプ
- ナチュミート ハンバーグ
- ナチュミート キーマカレー
- ナチュミート ミートボールタイプ
発売されている「NatuMeat」シリーズは、いずれも植物由来の原料を使用し、本物の肉の味、食感、見た目を再現するために、最先端の技術で開発された商品です。
NatuMeatシリーズの目標は、従来の肉製品に代わる美味しくて健康的な製品を提供し、環境にも配慮することです。
西本Wismettacホールディングス株式会社
西本Wismettacホールディングス株式会社は、1912年創業の老舗の商社です。
海外の日本食レストランにとって、常に信頼できる食材を提供している西本Wismettacホールディングス株式会社。2018年には、ビーガン向けにトマトなどを使ったマグロの代用肉や、ナスを使ったウナギの代用肉の取り扱いを開始した。
現在、西本Wismettacホールディングス株式会社は、ヴィーガン・ベジタリアン食品を扱う世界有数のサプライヤーとなっている。
人工代替肉のQ & A
植物由来肉(人工代替肉)のメリットは?
人工代替肉は、環境問題や食糧危機の解決に役立つと言われています。
また、健康増進や、ベジタリアンやビーガンの方にも食べられることから、人工代替肉は今後一般の食卓に並ぶ可能性が高いです。
代替肉のリスクは?
多くの代替肉は高度に加工されており、有害な添加物(ナトリウムやその他の不健康な成分)を含んでいる可能性があります。
また、新鮮な未加工の肉と同じような栄養価の利点が得られない可能性もあります。
適度な量を守り、健康的な食生活の一環として利用すれば、代用肉は安全で健康的な選択肢となりえます。
この辺りのリスクをどう解決していくのかが今後の課題になりそうです。
代替肉の環境影響は?
専門家の中には、人工肉代替品の大量生産は、温室効果ガスの排出削減や食肉産業に関連するその他の環境問題の解決に役立つと考える人もいます。
しかし、人工肉代替物の環境への影響はまだ十分に解明されておらず、大規模生産を推奨する前にさらなる研究が必要であるとの意見もある。
なぜ代替肉が必要なのか?
国際連合広報センターの報告によると、世界の人口は2050年までに97億人(※2)に達すると予想されている。
世界の資源はすでに大きな負担を受けており、国際連合広報センターは、地球がこのレベルの成長を維持することはできないと警告している。
そこで、人口増加の影響を緩和するために、人工的な代用食肉を生産することが考えられます。
人工肉(培養肉・代替肉)は、従来の食肉生産と同じレベルの土地、水、エネルギーを必要としないため、世界の資源の圧迫を軽減することができる。
また、家畜のようにメタンを排出しないため、温室効果ガスの排出を抑えることができる。
世界の資源が逼迫している今、人工肉代替品の生産は、世界が人口増加を維持するための重要な手段となり得るのです。
※2:国際連合広報センター
まとめ
人工代替肉のメリット・デメリットを紹介しました。培養肉に比べ大豆のような植物由来のお肉のため手に取りやすく警戒感は少ないのではないでしょうか。
それでも人工代替肉には課題も残されており今後に期待したいところです。
この機会に人工代替肉を手にとってどんな味かを確かめてみてください。