この記事でわかること
- ビヨンド・ミート社はアメリカを代表する代替肉企業。
- リストラや逮捕事件で株価は下落した。
- 代替肉市場の拡大が今後の課題。
ビヨンド・ミート社とは
Beyond Meat(ビヨンド・ミート)は、2019年5月2日に世界初の食肉上場企業(NASDAQ)にもなったオルタナティブミート企業です。
ビヨンド・ミート社は従来の食肉製品に代わる、より健康的で持続可能な製品を消費者に提供することを目的に2009年にイーサン・ブラウン氏によって設立されました。
同社の製品は、植物由来の原料を使用し、本物の肉の味と食感を模倣するように設計されています。
ビヨンド・ミート社の製品は2022年4月、13万カ所以上の小売店のほか、世界90カ国以上で販売されています。(※1)
※1「プレスリリース」
企業情報
企業名 | Beyond Meat(ビヨンド・ミート) |
国 | アメリカ |
設立 | 2009年 |
事業内容 | 人工肉の製造・開発 |
代表者 | イーサン・ブラウン(創業者兼CEO) |
ビヨンド・ミート社は、アメリカで最も高いブランド認知度を誇る植物性食肉企業として、より持続可能な食糧システムの提唱に貢献。
同社は、環境と動物に配慮した革新的な新しい肉製品で、この代替肉を推進しています。
また、ビヨンド・ミート社の製品は、従来の食肉製品よりも飽和脂肪やコレステロールが低く、健康的な製品といわれています。
日本市場に進出は今回で2回目
ビヨンド・ミート社は2019年に日本市場への参入を計画していたが、その計画を破棄した。
そして2022年9月にU.S.M.H社(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)と独占販売契約し日本市場に参入。
2019年、日本市場に進出する予定を断念
ビヨンド・ミート社は2019年に日本市場への参入を計画していたが、その計画を破棄した。
同社が日本市場参入の計画を断念した理由は不明です。一部の専門家は、同社がこの市場をあまりにも厳しいと判断したのではないかと推測している。
推測できる断念としては、
- 2019年当時は日本の植物性食肉市場はまだ比較的小さく、もし市場参入していたら既存企業との厳しい競争に直面する可能性がったため。
- 日本の消費者は新しい食品を試すことに関して比較的保守的であるため。
以上の推測できる課題により、ビヨンド・ミート社は日本市場は難しいと判断したのかもしれない。
2022年9月、U.S.M.H社と独占販売契約を締結
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下、U.S.M.H社)との独占販売契約をしたと発表(※2)
U.S.M.H社.は、2015年3月2日に設立されたマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東の共同持株会社です。
同社は、3つの個別企業の業務を効率化し、より効率的な体制を構築するために設立されました。
※2「ニュースリリース」
代替肉に対する想い
ビヨンド・ミート社は「健康」「気候変動」「天然資源の制約」「動物福祉」の4つの成長する地球規模の問題を解決したいという思いで前進している企業です。
動物由来の肉から植物由来の肉へと移行できるよう、肉の代替品に妥協することなく、安全・安心で消費者目線に立った取り組みを行っています。
また、ビヨンド・ミート社では、消費者ができるだけシームレスに移行できるように、本物の肉のような味と香りを持つ代替肉の開発や手頃な価格にすることにも取り組んでいる。
ビヨンド・ミート社が提供する代替肉の原料と成分は?
ビヨンド・ミート社の製品はすべてヴィーガン対応で「大豆」「グルテン」「遺伝子組み換え作物」を使用せず「エンドウ豆」「ジャガイモ」「玄米」など植物性の肉の代用品を製造しています。
ハンバーガー、チキン、ソーセージなど、さまざまな植物性代替肉を提供。
ビヨンド・ミート社は、健康第一に考えた製品の普及を考えている企業です。
ライバル企業は?
ビヨンド・ミート社のライバルで名が出るのはインポシブル・フーズ社である。
インポシブル・フーズ社の代用肉は主に濃縮大豆タンパクから作られ、ビヨンド・ミート社は主に豆タンパクから作られています。
両社とも、肉代替食品のトップメーカーである。しかし、インポッシブル・フーズ社は、アレルゲンとなりやすい大豆たんぱくを使用していることで批判を浴びています。
一方、ビヨンドミートはアレルゲンの少ない豆タンパクを使用していることが評価されています。
味については、インポシブル・フーズ社の方がよりリアルな味がするという意見もありどちらも譲らず人工肉市場をリードしています。
優劣をつけ難い両社ですがひとつだけ確かなことは、両社とも食品業界に波風を立て、肉に対する考え方を変えようとしていることです。
ビヨンド・ミート社の最新情報
ビヨンド・ミート社は、代替肉業界において、大きな前進を遂げています。
直近の出来事については、以下をご参照ください。
最高執行責任者(COO)が逮捕
ビヨンド・ミート社の最高執行責任者(COO)であるダグ・ラムジー氏が、相手との口論の際に相手の鼻をかんだとして逮捕されました。(※3)
これを受けて、同社は2022年9月20日に公式声明を発表し、ダグ・ラムジー氏を直ちにCOOとしての職務を停止したことを明らかにした。
この発表はビジネス界に大きな衝撃を与え、投資家も注目することになった。
その日の株価は通常取引で6%下落したが、引け後の時間外取引で若干の反発を見せた。
※3「ロイター」
業績不振による大幅リストラを発表
ビヨンド・ミート社は2022年11月14日、従業員の約2割に当たる200人をリストラすると発表。(※4)
リストラの理由は、需要が低迷する中で競争が激化し、業績不振に陥っているためといわれている。
11月9日に発表した第3四半期決算は、輸送費や原材料費の高騰が利益率を圧迫し、市場予想を上回る赤字となった。
また、現在の経済情勢やパンデミックの進行により、同社製品の需要がさらに鈍化するとの見通しを示した。
売上高は前年度比22.5%減の8,250万ドルとなり、アナリスト予想の9,810万ドルも下回るという結果に。(※5)
顧客数は1年以上前から大きく伸びておらず、成長が鈍化し、同社の収益に影響を与えているとアナリストは指摘している。
しかし、ビヨンド・ミート社の支持者たちは、同社が環境に配慮した代替食肉業界のリーダーとして、今後も繁栄し続けることを期待している。
※4「日本経済新聞」
※5「ロイター」
ビヨンド・ミート社の株価
ビヨンド・ミート社の株価が下落しているが、その原因は、前述の出来事と、代替肉に対する市場の認知度の低さの2点に大きく起因している。
下落傾向を打破するためには、同社製品の市場での存在感を高めることが必要であることは明らかである。
代替肉市場はまだ比較的新しく、消費者の関心も低いため、すぐには難しいかもしれない。
しかし、需要の高まりは株価の大幅な上昇につながる可能性があり、同社にとって好材料となる可能性があります。
また、健康志向の小売業者との提携や、食事の宅配サービスやミールキットなど、新たなビジネスチャンスを模索することも考えられます。
このような取り組みにより、ビヨンド・ミート社の製品の市場での存在感が高まる可能性があります。
同社の業績は代替肉市場の拡大に大きく依存しているため、今後も同社の株価には注目していきたい。
ビヨンド・ミート社の将来性は?
ビヨンド・ミート社の未来は、代替肉という問題を解決し、市場を拡大することにかかっている。
同社が業界で確固たる足場を築くには、現在の顧客と潜在顧客のニーズを満たす製品の開発に本気で取り組む必要がある。
代替肉の課題
代替肉は通常の肉に比べて高価であるため、いかにコストを下げるかが大きな課題です。
さらに、健康面でのエビデンスや消費者の受容性など、さまざまな課題が残されています。
健康面でのエビデンスとしては、植物由来のハンバーガーは通常のハンバーガーよりも飽和脂肪酸とコレステロールが低く、また心臓の健康増進につながるとされる健康的な不飽和脂肪酸も多く含んでいます。
しかし、代替肉が人間の健康に及ぼす長期的な影響をよりよく理解するためには、より多くの研究が必要である。
市場拡大が条件
消費者の受容性も考慮しなければならない要因のひとつです。
植物由来の肉の消費量が増えているにもかかわらず、米国ではまだ大多数の人が植物由来のハンバーガーを懐疑的にとらえ、肉中心の食生活を続けています。
企業は、長期的に製品をより手頃な価格にしたいのであれば、より良いマーケティングを行い、より多くの人々にアピールする方法を見つける必要があるのです。
ビヨンド・ミートに関するQ & A
- ビヨンド・ミート社とは?
- ビヨンド・ミートの事業内容は?
- ビヨンド・ミートの業績は?
ビヨンド・ミート社とは?
ビヨンド・ミート社は、アメリカを拠点とするフードテック企業です。
ビヨンド・ミートの事業内容は?
従来の動物由来の食肉に代わる植物由来の食肉を製造しています。
大豆、エンドウ豆、穀物などの植物性タンパク質から作られる植物性ミートを販売しています。
ビヨンド・ミートの業績は?
ビヨンドミート社の業績は芳しくなく、市場拡大に課題を抱えている。
現在、売上高が減少し、株価も下落しているため、投資家の間で大きな注目を集めています。
しかし、同社は単に一息ついているだけで、今後の大きな成長に備えているのだという見方もある。
同社が提供する肉の代替品であるヴィーガンフレンドリーな食品は、その可能性と人気の高さから、新たな投資家がこの銘柄に注目しているのです。
さらに、市場での存在感を高め、より多くの場所で同社の製品を入手できるようにするための戦略も練られている。
これらの戦略が奏功し、同社の取り組みが成功すれば、ビヨンド・ミート社の未来は明るいものになるかもしれません。
まとめ
ビヨンド・ミートについて紹介しました。
代替肉はまだ始まったばかりで将来的に必要となりうる市場でもあります。
現状は売上も株価も下がっているかもしれませんがここが投資のチャンスと捉えることもできそうです。
今後代替肉をリードしているビヨンド・ミート社に注目していきたい。